BICE
the Balloon-borne Infrared Carbon Explorer (BICE)
ミッションの解説
概要
BICEは、遠赤外線[CII]スペクトル線を広域にわたって高精度で測定することを目的とした気球ミッションです。[CII]線は、中程度の電離領域で生成され、星間空間における物理的・化学的過程や銀河系の大域的な構造を知るための重要なスペクトル線です。
1991年と1992年に、アメリカ、オーストラリアにて気球飛翔実験が行われました。BICEには極低温ファブリーペロー分光器が搭載され、158ミクロンにおける[CII]線放射の銀河面サーベイ観測を行いました。3回の飛翔で観測データが得られ、一回あたりの観測は約8〜12時間、浮遊高度はおよそ36〜39 kmでした。
観測装置
BICEには、コンパクトで高分解能を達成するファブリーペロー分光器が用いられ、[CII]線に感度の高いストレスGe:Gaフォトコンダクターを検出器としている。光学系全体を超流動液体ヘリウムを用いて2 Kに冷却することにより、観測機器全体の背景放射光によるノイズを小さくしています。
望遠鏡は「軸外し・オーバーサイズ光学系」を採用し、背景放射光を軽減し、高い検出感度を実現しました。
成果
BICEによって銀河面の広い範囲をカバーした[CII]輝線のマッピング観測が行われ、強い拡散成分が観測されました。また、Cygnus X, rho Ophiuchi暗黒星雲、大マゼラン雲などの観測も行われ、星間雲の存在形態が明らかになりました。