概要

ISS-IMAP（International Space Station - Ionosphere, Mesosphere, upper Atmosphere, and Plasmasphere mapping）は、国際宇宙ステーション（ISS）から地球の超高層大気を観測するミッションです。このミッションの目的は、地球の中間圏および熱圏における大気光やプラズマの分布を詳細に観測し、これらの領域の物理現象を解明することです。ミッションは2012年7月21日にHTV-3号機によって打ち上げられ、2015年8月24日に後期運用観測が終了しました。主な研究機関は、京都大学、ISAS/JAXA、東北大学、東京大学、名古屋大学、成蹊大学、立教大学、九州大学、NICT、電子航法研究所、駒澤大学などです。

観測装置について

VISI (Visible and near-Infrared Spectral Imager)

VISIは、可視光および近赤外線を用いて地球の中間圏および熱圏の大気光を観測する装置です。主に762nmの波長でO2大気光を観測します。この装置は、広視野での観測が可能であり、地球の大気光の同心円状構造を詳細に捉えることができます。VISIの観測能力により、従来の地上観測では得られなかった広範囲のデータを収集することができました。

EUVI (Extreme Ultraviolet Imager)

EUVIは、極端紫外線を用いて地球の熱圏およびプラズマ圏を観測する装置です。この装置は、紫外線の波長帯域を利用して、地球の上層大気のプラズマ分布を詳細に観測します。EUVIの観測により、地球のプラズマ圏の構造や動態についての新たな知見が得られました。

成果

ISS-IMAPミッションは、いくつかの重要な科学的成果をもたらしました。特にVISIによる観測では、中間圏における大気光の同心円状構造が初めて詳細に観測されました。2013年6月1日04:33UTから04:49UTにかけて、北アメリカ上空でO2大気光（762nm）の同心円構造が観測され、このデータは中間圏の大気光の全体構造を理解する上で重要な情報を提供しました。

また、ISS-IMAPミッションは、宇宙空間からの可視光近赤外による超高層大気撮像観測の有効性を示しました。従来は地表付近からの影響のない紫外線が主に用いられていましたが、可視近赤外による観測が新たなデータを提供し、地球の上層大気の理解を深めることに貢献しました。

これらの成果は、地球の大気およびプラズマの動態を理解するための重要な基礎データとなり、今後の研究においても大いに活用されることが期待されています。