RHESSI
Reuven Ramaty High Energy Solar Spectroscopic Imager (RHESSI)
ミッションの解説
概要
RHESSI(Reuven Ramaty High Energy Solar Spectroscopic Imager)は、主に太陽の高エネルギー現象を観測することを目的としたNASAの太陽観測衛星です。2002年2月5日に打ち上げられ、2018年8月16日に機器の老朽化のために16年に渡る運用を終了をしました。RHESSIの主な科学的目的は以下です:
- 衝動的(インパルシブ)エネルギー放出の理解
- 粒子加速のメカニズムの解明
- 粒子とエネルギーの伝達プロセスの研究
衛星の重量は燃料込みで 293 kg、形状は 2.2 m (高さ) x 1 m (幅) の円柱型で、太陽電池パネルが4枚装備されています。近地点高度 579 km、遠地点高度 607 km、軌道傾斜角 38度の軌道を1周96.5分の速さで周回しました。
観測装置について
Imaging Spectrometer
RHESSIの観測装置はImaging Spectrometerです。軟X線(約3 keV)からガンマ線(約20 MeV)までのエネルギー範囲で太陽フレアを観測します。この装置は以下の2つの技術を組み合わせて使用することで、詳細なエネルギースペクトルと高解像度の画像を提供します:
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Fine Grids:この技術は、宇宙探査機が約15回転/分で回転する際に、タングステンまたはモリブデンの微細なグリッドを使用して太陽放射を変調します。この手法により、電子が加速場所から低位の太陽大気へと進む様子を追跡するための詳細な画像を1秒あたり最大20枚取得できます。
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Germanium Detectors:冷却されたゲルマニウム結晶を使用して、3 keVから20 MeVのエネルギー範囲のX線およびガンマ線の光子を高精度で検出します。これにより、X線およびガンマ線スペクトルの詳細な特徴を明らかにし、電子とイオンの加速プロセスの手がかりを提供します。
得られた成果
RHESSIミッションは、その独自の観測能力によって太陽フレアにおける粒子加速とエネルギー放出のメカニズムに関する重要な知見を提供してきました。具体的な成果として以下の点が挙げられます:
- 太陽フレア中に放出される高エネルギー電子の空間的分布とエネルギースペクトルの詳細なマッピング
- 粒子加速の過程と場所、およびそのエネルギーに関する新たな理解
- 太陽大気における磁場と電磁プロセスの詳細な研究
RHESSIの観測データは、地上における望遠鏡や他の宇宙探査機のデータと組み合わせることで、太陽フレアの物理的環境に関する包括的な理解を深めるために役立てられています。