SEDA-AP
Space Environment Data Acquisition - Attached Payload (SEDA-AP) on JEM-EF
ミッションの解説
概要
SEDA-AP(Space Environment Data Acquisition equipment - Attached Payload)は、宇宙環境のデータを収集するためのミッションです。このミッションは、2009年7月に開始され、2018年に運用を終了しました。主体となっている研究機関はJAXA(宇宙航空研究開発機構)です。SEDA-APは、国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟に取り付けられ、地球を周回する軌道上で宇宙環境の観測を行いました。
SEDA-APは多数の計測機器を搭載していますが、DARTSからはそのうちSDOMのデータが公開されています。
観測装置について
SDOM (Standard Dose Monitor)
SDOMは、宇宙空間に存在し、部品材料の劣化や電子部品の誤動作等の原因となる、電子、陽子、α線等の高エネルギー軽粒子の粒子別エネルギー分布を計測する装置です。 入射粒子のエネルギーは3枚のシリコン製のSSD (Solid State Detector) で計測されます。3枚のSSDを突き抜ける場合、SSDの後ろにあるシンチレータと光電子増倍管によってエネルギーが計測されます。粒子分別は各センサからの出力信号の波高値の組み合わせから判定されます。SDOMは、微小な塵のサイズや速度を高精度で測定する能力を持ち、宇宙空間の塵の分布や動態を理解するために重要なデータを提供しました。
POM (Plasma Observation Monitor)
POMは、プラズマの密度や温度を測定する装置です。プラズマの観測により、宇宙空間の電磁環境を理解することができます。
CPM (Charged Particle Monitor)
CPMは、宇宙空間に存在する高エネルギーの荷電粒子を検出する装置です。これにより、宇宙放射線の影響を評価することができます。
RDM (Radiation Dosimeter)
RDMは、宇宙放射線の線量を測定する装置です。宇宙飛行士や機器への放射線の影響を評価するために使用されます。
NEM (Neutron Monitor)
NEMは、中性子のフラックスを測定する装置です。中性子の観測により、宇宙放射線の特性を理解することができます。
MDM (Micro-Dosimeter)
MDMは、微小な放射線の線量を測定する装置です。これにより、宇宙空間での放射線環境を詳細に評価することができます。
LDM (Low-Energy Particle Monitor)
LDMは、低エネルギーの粒子を検出する装置です。これにより、宇宙空間の低エネルギー粒子の分布を理解することができます。
TSM (Thermal Shield Monitor)
TSMは、熱シールドの性能を監視する装置です。これにより、宇宙機の温度管理を最適化するためのデータを提供します。
成果
SEDA-APミッションは、宇宙環境の詳細なデータを収集し、宇宙空間での放射線や微小塵の影響を理解するために重要な貢献をしました。これにより、将来の宇宙ミッションの安全性向上や設計の最適化に役立つ知見が得られました。